内面劇場

本の感想をメインに書いてます

『死霊解脱者物語聞書』世の中には嘘のようなホントの話があって

累-かさね この名の女性は有名ですよね。様々な物語がつくられていますが、それらの大元となった、とある村で起こった事件を実体験された方々から聞き書き起こした本です。

死霊解脱物語聞書をWeb検索すれば沢山の情報が載せられています。それで殆ど分かってしまうのですが…紙の本が好きなので。

こちらの本は、江戸時代に書かれたものを現代の読者にわかりやすい状態に活字化されたものです。漢字は現代使われているものに変換されていますが、仮名遣いは底本のとおりになっているため、少々読みづらいのですが、わからないことはありません。

大変親切なのが、各章ごとに大意として現代語訳を載せています。先にその現代語訳を読んでから、原文を読むほうがわかりやすいと思います。

あらすじを簡単にいいますと
1672年江戸時代、茨城県にある当時羽生村という里で起きた怪事件。
顔の醜さから夫に殺されたことで、悪霊となり後妻を次々と殺し、ようやく産まれた子、菊に憑依し、夫へ恨みを晴らしにきた累。夫、与左右衛門の悪行を知った村人たちと、祐天上人によって累の救済に奮闘する話が語られています。

初めの章から、いきなり殺害現場を語る構成で人々を引きつけます。以降、憑依した累と与左右衛門、村人達とのやりとりが細かく描写されていきます。

物語のだいたいが名主がメインとなり村人たちが菊に取り憑いた累と話をし、累の救済のため供養をしてゆきます。ヒーローのように書かれている祐天上人が登場するのは後半です。

私は、祐天上人が凄い法力でスカッと悪霊退散すると思っていたのですが、なんというか、当時まだ学僧であったからなのか祐天上人は法力で解決してないんですよね。
だいたい力技で悪霊(て、実体は14歳の女の子)の髪の毛引っ掴んで床に叩きつけて痛めつけてるんですよね…
『菊を殺して俺も死ぬ』とか脅し出すし。
荒療治ですが、一旦累が離れ衰弱した菊を誰よりも気遣ってくれた心優しい方であったようです。

この話は累の怨は夫に対してだけではなく、非情な理由で殺された自分を見て見ぬふりをし続けた村人達への復讐でもあるように思われます。
菊に憑依した累は、村人の亡き親兄弟は殆ど地獄行きだと、悪事を詳細に公表し村人達は自分達だけではなく噂を駆けつけ集まってきた近隣の村々に羞恥をさらすことになります。因果鳳凰、現世の行いが極楽浄土へ行けるか地獄行きになるか、仏法説話としても世に教えとなる話になっててただの実話を後世に残したかっただけではないのですね。

そんなほんまかいなって話ですが、累の供養のための石仏が存在しています。茨城県の法蔵寺というお寺です。石仏だけではなく、祐天上人が使用した数珠も保管されているそうです。

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