今やこの題名を知らない人はいない。と断言できる世界の名作のひとつではないでしょうか。
そのわりに、じゃあ内容を詳細に話せるかと言われれば、あまり詳細に語れるほど正直記憶してない。
というのもこの物語の特徴ではないかと思うのです。
因みに私が思い出せたのは、小さい男の子が旅してる話でウワバミ、バオバブ、赤いバラが登場してた。
以上。これは私の記憶力が壊滅的なだけかも…?
記憶もないくせに、本屋でこの本を見かけると、無機質な少年の表情に
なんとなく切ないような感傷的な気持ちになるのは不思議で。
気になって久しく、『星の王子さま』を買ってみました。
探してみると訳者が異なるものが4冊もありました。
家の近所のスーパーの中にあるそこまで大きくもない本屋に。需要ありすぎです。
でも、その中に私が子供の頃、本の中で出会った『ウワバミ』がいないのです。
『ボア』や『大蛇』が主流になってしまっていました。
何故そこだけ変える?と疑問を持ちながら、更に大型書店で探してみると、
ありました!私の記憶の中の数少ないキーワードの『ウワバミ』が。
内藤 濯さんの訳で書かれた『星の王子さま』。
この方が日本語版を初めて翻訳されたと今になって知りました。そしてこのインパクトある題名も内藤さんによる創案であるということも。
訳者が違うからといって、言い回しの違いがあって多少言葉の与える印象が違うことはあれど、物語の筋が変るわけもなく同じなのです。
この本の面白い部分は、むしろそれぞれのあとがきだと私は思いました。
同じ本、それも既に翻訳されている本を各訳者がどのように向き合い、言葉を選んで完成させていったか知ることができ、個々の「星の王子さま」のとらえ方が書かれていて面白いです。
そして、この物語を読むにあたって、どの本にも作者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリさんの生涯について説明がありました。
それらを読むと、この本は、完全なる架空の物語ではなくて、作者の物語のようでもあります。が、作者は言ってました「レオン・ウェルトに」と。
主人公のパイロットと小さな王子さまの関係は、自分自身でもあり、サン=テグジュペリさんにとってはレオン・ウェルトさんレオン・ウェルトさんにとって、サン=テグジュペリさんを映し出すのかもしれません。
無数の星空の中に、お互いを見つけ微笑みあえるように。
今回、画像紹介に使用した本は、私が初めて読んだ訳者の内藤 濯さんの岩波文庫本です。内藤さんのあとがきとご子息である内藤初穂さんのエッセイ、サン=テグジュペリ略年譜が収録されています。ちなみに、内藤 濯さんと河野 万里子さんのあとがきで、レオン・ウェルト(ヴェルト)さんについて少し書かれてあります。
お読みくださり ありがとうございました